南海加太線の「旧線跡を歩く」の最終回です。北島駅跡から加太線旧線跡を和歌山市駅まで歩きます。紀ノ川が見えてきました。北島駅跡側の町と右岸堤防の間に小さな橋梁が架かっています。 旧加太線の前身の加太軽便鉄道が1914年に架けた鉄道橋梁を転用した道路橋です。この部分はクルマ…… more も通行します。 加太軽便鉄道の紀ノ川橋梁を人道橋（二輪車まで通行可能）に転用した葛西橋（かせいばし）です。石組みの橋脚が加太軽便鉄道時代のもので、コンクリートの橋脚は1950年のジェーン台風に破壊された後に建て直されたものだと思います。元々が軽便鉄道用の低規格橋梁でした。（開業時は軽便鉄道でしたが開業当初から軌間は1,067mmです）ジェーン台風以降は、この旧加太線の和歌山市駅～北島間は不通（その後の運転再開はありませんでした）になり、手続きの上では休止期間を経て1955年に廃止されました。（この区間の廃止後は北島～東松江間は加太線の北島支線として存続していました） この人道・二輪車用の葛西橋の老朽化が進んでいるため、現在の橋の上流（左側）に新しい橋梁を架ける工事が進められています。2023年に新しい橋に移行する予定だということです。 紀ノ川の下流の河口方面です。 紀ノ川左岸の下流の「久保丁」付近です。かつて和歌山港線の「久保町駅」があったところです。 葛西橋の和歌山市駅方です。ジェーン台風後に人道橋の用途で再利用されました。その程度の規格のため、路面が傾いたり曲がっていたりしています。 上流の南海本線を加太線直通の「めでたいでんしゃ」が通過していきました。 和歌山市駅に向かう軌道の名残で左に向かう曲線になっています。この橋の上流側に新橋梁の橋台ができていました。 紀ノ川の左岸から見た葛西橋です。 葛西橋の全景に近い画像です。「よく今まで残っていたなあ」と思わずにはいられませんでした。 ↓傾いた橋脚1950年のジェーン台風のときに破壊を免れたものの大きく傾いてしまった橋脚が今も残っています。人道橋への転用の際にコンクリートで接木（つぎき）のような修復が行われています。 参考画像【兵庫県尼崎市内にある室戸台風とジェーン台風のモニュメントです】太平洋戦争後の連合国軍占領下時代（1952年4月まで）は、米国の慣習に合わせて台風に女性名がつけられていました。その中でもキティ台風（1949年：関東で大きな被害が発生）とジェーン台風（1950年：関西で大きな被害が発生）が特に有名でした。 上流側から見た葛西橋の傾いた橋脚です。今だったら、こういう修復はしないと思います。 2018年現在、加太軽便鉄道のこの区間の延伸開通（開通時の和歌山口駅～北島駅間の延伸）から104年目です。現在の葛西橋は2023年には使われなくなります。 紀ノ川を渡ると直ぐに和歌山市駅が見えてきます。 古地図で確認したところ、加太軽便鉄道延伸時に開業したターミナル駅の和歌山口駅（1914年：２代目）は、この辺りにあったようです。1942年に加太電気鉄道になっていた加太線が南海鉄道（当時）と合併して南海加太線になったときに、独立していた和歌山口駅が和歌山市駅に統合されました。 踏切から見た和歌山市駅です。 1971年7月に和歌山市駅で撮影した画像です。（おわり）  close

南海加太線の旧線跡を歩く（３）紀ノ川編