６月末に出版された「近鉄電車写真集　ビスタカーⅠ・Ⅱ世編」を購入した。　そのタイトル通り、一冊丸ごと、近鉄特急史に燦然と輝く名車１００００系、１０１００系のみに絞った写真集だ。　「近鉄特急＝二階建てビスタカー」というイメージを定着させた初代ビスタカーと二代目ビスタカーだが、１０…… more １００系のさよなら運転が行われたのが１９７９年だから、もう４０年近くが経つことになる。　撮影したのは、鉄道雑誌でもお馴染みの林基一氏。ページをめくると、実に多彩でボリューム満点の写真が掲載されている。　１００００系の活躍軌間は１３年、１０１００系は２０年。後継車の３００００系が４０年を経てまだまだ健在なのに比べると、意外と短命だったし、今のようにデジタルの記録機器がない時代に、よくぞこれだけの貴重な記録を残してくれたものだ。　幼少期に眺めていた幼児向け絵本には、二階建て電車として１０１００系か２０１００系「あおぞら号」が必ず載っていたから、幼い頃からビスタカーの存在は擦り込まれていたし、小学生ぐらいまでは近鉄特急と言えばこの二系列しか知らなかった。　１００００系の存在を知ったのは、本屋で立ち読みした「私鉄電車ガイドブック」だったと思う。強烈な印象の前頭部と、屋根上に飛び出したドーム型の展望席はインパクト大だった。しかし、追うように鉄道雑誌にさよなら運転の記事が掲載され、実車を見ることは叶わなかった。　１０１００系は、何度か乏しい小遣いをやり繰りして乗りに行った。ラストを飾った三重連運転も撮っているが、この写真集にも、ほぼ同じ場所で撮った写真があって感慨深い。　どこで撮っても絵になるのが近鉄沿線。数多くの走行写真と共に、屋根上や床下など、模型好きの参考写真も多数収録されている。　単なる写真集というより、名車の歴史を後世に伝える貴重な資料としての価値も高い珠玉の一冊。　巻末では、続編も予告されているのが楽しみだ。　なお、本書は通常の書店取り次ぎでの流通ではなく、模型問屋ルートの流通となっている。 close

近鉄電車写真集「ビスタカーⅠ・Ⅱ世編」