令和最初のひとり旅【支線7】与那原駅跡にての詳細

令和最初のひとり旅【支線7】与那原駅跡にて
いかさまトラベラー
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記事タイトル 令和最初のひとり旅【支線7】与那原駅跡にて
概要

 これまでの経過はこちら。  ⇒【本線1】 【本線2】 【本線3】 【本線4】   【支線1】 【支線2】 【支線3】 【支線4】 【支線5】 【支線6】    2003年にゆいレールが開通するまで鉄道空白地帯だった沖縄県には、太平洋戦争中までは一般の鉄道が走っていた。前回の記…… more 事で訪問した転車台のある那覇駅からは、戦時中まで沖縄県営鉄道が、北は嘉手納、東は与那原、南は糸満へと路線を伸ばしていた。「ケービン」と呼ばれた小さな鉄道車両が、当時台頭し始めたバスにも負けず乗客を運び続けた。当時の時刻表によれば各線とも1日10数往復の運転だから、それなりの本数である。 しかし、激化する戦争の中で、空襲による施設被害により沖縄県営鉄道は運行を停止し、上陸した連合国軍によって鉄道施設はほぼ破壊された。運行停止したのは1945年の3月頃とされているが、正式な廃止日さえはっきりしない。沖縄県営鉄道の線路敷は、その後の再開発や米軍基地建設により分断され、戦後74年を経てその痕跡をたどるのは困難になっている。 ゆいレールの建設を契機としたかのように、こうした鉄道遺産が再び注目を集めることになった。各所に散逸していた鉄道遺産は、県立博物館や那覇空港に近い「ゆいレール資料館」で見ることができる。かすかにその歴史をとどめる痕跡を求めて廃線跡をたどるブログもたくさんある。 先日訪れた那覇駅跡の転車台と並ぶ大きな鉄道遺産のひとつが、与那原線の終点、与那原駅跡である。12月9日、沖縄本島をドライブした私は、最後の目的地としてこの与那原駅跡に立った。     戦火を潜り抜けて生き残った数少ない鉄道施設のひとつであった与那原駅は、戦後、改修を重ねながら消防署や与那原町役場、農協事務所として活用されてきた。2013年に農協事務所が移転したのち、当時の形に復元工事が始められ、2014年に完成、「軽便与那原駅舎展示資料館」として生まれ変わった。駅舎内には当時の写真や資料が展示されており、入館料は100円と安い。    館内には、沖縄県営鉄道の歴史にまつわる資料や写真が数多く展示されている。セピア色なのでややわかりづらいところはあるが、全盛期の与那原駅の様子を収めた写真もあった。当時としては流麗であったであろう建物だが、やがて戦火にさらされて無残な姿になる。それでも建物の骨格が崩れ落ちずに残っていたことが、今日の復元につながっている。   現在の与那原町は、国道329号と331号の結節点で、今も陸上交通の要衝のひとつになっている。人口は20,000人弱で増加傾向にあり、街には活気が感じられる。それは沖縄県営鉄道が存在した当時から変わらない。与那原駅は県営鉄道与那原線の終点だったが、与那原からさらに先、西原町小那覇まで沖縄軌道という別の鉄道が伸びる交通の結節点だった。模型で再現された当時の与那原駅周辺は、住宅や商店が密集し、賑わいがあったことを感じさせる。窯業は与那原町の基幹産業のひとつで、首里城復元の際には当地の赤瓦が使用されたという。   駅の裏手、当時ホームがあった側に出ると、高さ50cmほどのコンクリート柱が9本立っている。これは戦火に生き延びた与那原駅の骨格を成した柱の跡である。この柱はその後再利用されて、2013年の解体前まで実際に建物を支えていた柱である。近くに設置された案内板の写真と見比べるとよくわかる。再築された駅舎は当時の物とは別物であるが、この柱だけは沖縄県営鉄道時代以来の歴史の証人である。  細い路地を挟んだ反対側は、以前駐車場として利用されており、今は空き地になっているが、この辺りはちょうど与那原駅構内の線路があったあたりである。ここからはレールやプラットホームの跡が発掘されている。おそらく広い構内を有していたはずだが、付近は住宅が立ち並び、往時の面影はない。 駅舎と空き地の間の路地が県営鉄道の線路跡と推定され、住宅の間を縫って那覇方面へ向かって西にまっすぐ伸びている。     路地は100mほどで狭い道路とぶつかる。文献やネットの情報では、この先、現在幼稚園になっている敷地を抜けて那覇方面へ向かっていたようだが、この先の痕跡は追えない。インターネット上の様々な情報では、随所に元の線路敷と思われる道路が残っていたりするらしいが、今回はここまで。時間の関係もあり、私は那覇空港へと車を走らせた。今回、与那原線の起点(那覇駅跡)と終点(与那原駅跡)だけを訪れ、中間をすっ飛ばしてしまったことになる。 「ゆいレール」の開通でようやく軌道系交通機関が復活した沖縄では、人口約32万人の那覇と約6万人名護の間、約67kmを鉄道で結ぶ計画があるという。宜野湾市・浦添市・沖縄市・うるま市と人口10万人前後の都市が経路上に位置しており、実現可能性のほどは不明だが、人口が増加傾向にある沖縄だけに期待したい気持ちは多分にある。鉄道がまた増えてくれれば、沖縄にみたびやって来るという大義名分が立つ。 続く。ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチッとな。    close

令和最初のひとり旅【支線7】与那原駅跡にて
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投稿日時 2020-04-06 01:20:12

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