日高本線の鵡川~様似間の鉄道営業が終了の詳細

日高本線の鵡川~様似間の鉄道営業が終了
北海道の鉄道情報局
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記事タイトル 日高本線の鵡川~様似間の鉄道営業が終了
概要

長らく列車が走ることがなかった日高本線の鵡川~様似間。2021年3月31日をもって正式に鉄道事業廃止となり、バス転換されます。これまで、バスによる代行輸送が続いていましたが、あくまで鉄道事業を行ううえで列車の運行が難しく、それに代わる形でバスによる代行輸送を実施していただけです。…… more 明日からはダイヤも一新され、鉄道からバスへバトンタッチします。写真を少し掲載します。先日行ってきましたが、大きな被害を受けた箇所は当時からほぼそのままの状態で残っており、正式に廃止となれば、いち早く撤去されると思います。また、所々自然に還りつつある場所もあり、鉄道路線として存続していたものの、実質廃線に近い雰囲気が漂っていました。様似駅では代行バス最終便の見送りセレモニーが実施されたはずです。長らく存廃問題で揺れた日高本線ですが、決着が着き、バスへと転換される形となります。日高本線は苫小牧軽便鉄道(1913年10月1日開業)の苫小牧~佐瑠太(現:富川)間の開通に始まり、その後、日高拓殖鉄道(1924年9月6日開業)とともに、2つの軽便鉄道を1927年8月1日に線路幅を現在の在来線の1,067mmに改軌したうえで国有化しました。その後、1933年から1937年にかけて現在の終着である様似駅まで延長した路線です。最終的には旧広尾線と結ばれる計画があったはずです。襟裳岬を経由して広尾を経て帯広まで結ぶことが予定されていました。しかし広尾線は国鉄分割民営化直前の1987年2月2日に廃止されました。その間に石勝線も開業したことで、短絡路線という意味合いもなくなり、様似までの長いレールが残っていただけのようです。日高本線はこれまで自然災害で何度も被害受け、その度に損壊と復旧を繰り返してきました。赤字ローカル線に莫大な復旧費用がかかっていることは何十年も前からわかりきっていたはずで、なぜ今の今までそうした問題を無視してきたのか疑問に思います。日高本線は昨年10月27日に国土交通大臣に鉄道事業廃止の届出を行いました。その後、12月8日に北海道運輸局による関係者への「公衆の利便の確保に関する意見の聴取」を実施しました。当初は2021年11月1日が廃止予定日でしたが、廃止日を4月1日に繰り上げたとしても公衆の利便を阻害するおそれがないと認める通知を12月28日に国土交通大臣から受領し、その後正式に廃止日を4月1日としました。道、自治体、JR北海道、そして国が交えて日高本線の問題について、5年にわたって何度も話し合いを行ってきました。再び鉄道を運行するために、最終的に約86億円に復旧費用が跳ね上がりました。運行を再開した場合の沿線自治体の負担が年間13億4千万円ということで、とても負担できるレベルではありません。この試算が示された時点で、明日に迫る現実に既にわかりきっていました。道と国も介入することで日高本線の問題が何とかなると希望をもった沿線自治体も多かったと思います。ですが、結局は自治体とJR北海道のやり取りに委ねられ、結局話が進展しないまま廃止という選択肢を出しました。特に道は、何のために介入したのか不明で、自助努力と称してJRを突き放しただけに終わりました。協議が長引き、虚偽の報道内容によって次第に道民の感心は薄れていきました。虚偽の報道内容とは、JR北海道が沿線自治体を無視して、路線廃止の強行策に出るというものでした。これによって、完全に自治体の見方についた某マスコミは、JR北海道を徹底的に批判しました。しかし、全国規模で日高本線の実態が暴かれると、パッタリとその批判的な内容はおろか、某マスコミに対しての批判、沿線自治体の首長に対する批判へと変わります。その契機となったのは、沿線住民の生の声です。全国報道で鉄道はほとんど利用せず、学生ですらバス通学が大半以上を占める実態が明らかになったのです。某マスコミについては、その沿線住民の生の声を報道せず、その実態が闇に包まれたままでした。おそらく、反対意見ばかりを報道していただけでしょう。また、鉄道を残す理由として、地名が消える、鉄道路線が消えて観光に影響を及ぼす等、どうでもいいような理由を並べて廃止反対を唱えていた輩もいました。そして、途中からDMV(デュアル・モード・ビークル)の存在を知ると、復旧を諦めかけていた沿線自治体が再び過熱し、被災した現場を避けて道路と線路を上手く活用する方法も検討しましたが、DMV(デュアル・モード・ビークル)は専用の設備を要し、それを整備するために場所もお金もかかりますから、結局費用の負担を断念し、再び復旧に向けた話し合いが行われました。ですが、このDMV(デュアル・モード・ビークル)を使用するのであれば、結局バスで全ての区間を代替した方が良く、わざわざ鉄道路線を残す必要もありませんでした。一方、JR北海道からは上下分離方式が提案されます。鉄道や道路、空港などの経営において、下部(インフラ)の管理と上部(運行・運営)を行う組織を分離し、下部と上部の会計を独立させる方式または仕組みです。主に、鉄道の収入で施設等の維持・更新が賄いきれず、鉄道を維持するべく、沿線自治体等が施設の保有を担います。上下分離方式には主に2通りが存在します。(1)列車の運行及び車両の維持・管理を運行する会社が担い、施設や土地を保有会社が担う(2)車両の運行のみを運行する会社が担い、それ以外は保有会社が担う地域や状況に応じて上下分離方式の仕方は異なってくると思います。日高本線の場合、列車の運行や車両の維持をJR北海道、駅などの設備運営を沿線自治体に委ねる方式です。今春のダイヤ改正を機に道北方面の18駅がこの体系に移行しています。日高本線を復旧するにあたり、一番有望だったのがこの上下分離方式でした。結局この提案も沿線自治体が費用負担に難色を示したことで受け入れられなかったのです。日高本線は駅の数が30あります。中には、限りなく1日あたりの利用者がゼロに近い駅もあったでしょう。そうした駅を果たして残しておくべきだったのか。これは以前管理者がブログ上で何度も指摘してきました。実際、今春のダイヤ改正で宗谷本線で旅客駅の大量廃止を実施し、そうした駅をスルーすることができるようになった普通列車は、最新のH100形への置き換えもあり、旭川~名寄間で最大30分程度の時間短縮が図られています。日高本線は苫小牧~様似間を結びますが、全線の所要時間は3時間を越えます。仮に、利用が多い主要な駅だけを残して整理すれば、上下分離方式による沿線自治体の維持負担の軽減はおろか、所要時間が短縮され、利用増進に結びついた可能性もあるのです。なぜそうした方向性に話が進展しなかったのか、管理者としては疑問に思っています。日高本線を残す一番の理由として、「弱者救済」が上げられていました。主に高齢者医療を必要としている方に対して、交通の便を確保し、日高管内と苫小牧などを結べるようにすることです。ですが実際、弱者救済の手段は鉄道でなくてもよいのです。実は日高管内は地図で見ても広大なエリアであるにも関わらず、高齢者医療においては、苫小牧や札幌に頼らざるを得ない状況が続いています。これを廃止反対の理由として前面に押し出していました。逆に鉄道は線路のない場所にはたどり着けません。つまり、その弱者が駅までどのようにして移動すればよいのか、そして例えば苫小牧駅に到着したら、どのようにして病院へ移動すればよいのか。以前この弱者救済についてコメントをいただいたことがありましたが、そこから管理者が考える限り、そうした体制が明らかにされず、結局不透明なまま終わりました。本当の弱者救済を考えているのであれば、やはり戸口から戸口の移動に限ります。どのような方法かというと、自宅まで車で迎えに来て、車を降りたら病院にたどり着ける。そうした仕組みこそ、本当の弱者救済です。このことからも、鉄道は弱者救済としての使命を果たせることができるのかどうか、微妙と言えば微妙だったんですよね。さらに、高齢者医療を必要としている方の中には、家族がいない、身寄りがいない方もいるはずですから、そうした方のためにも、戸口から戸口への移動が可能な本当の弱者救済が必要です。廃止時期が早ければ早いほど有利な条件を勝ち取る方法もあったのです。もちろん、路線廃止に伴って沿線自治体にはその対価(莫大なお金)が基本的に入ります。そのお金を使って、例えば自治体側でバス(マイクロバス)を購入し、定期的に苫小牧の病院と日高管内を往復するバスの運行を実施する。あるいは、その対価を使って日高管内に新たに総合病院を設け、そこを軸とした新たな交通網を展開してもよかったでしょう。日高本線をみると、JRからの拠出金が25億円で、そのうち各町関連まちづくり交付金が5億円です。江差線廃止時に9億円、夕張支線が7.5億円というのをみると、路線距離の割に日高本線は少ないです。これが路線バス運行開始2カ月前になっても使用方針で議論に決着が着かず、まだ時刻表の記載方法やダイヤなど、まだまだ今後調整が必要な感じが否めません。そのあたりは時間の経過とともに徐々に改善されていきそうです。日高本線は苫小牧~鵡川間が引き続き存続しますが、こちらも存続が危ういことには変わらず、昨年度の同区間の営業係数(100円の営業収入を得るのにどれだけの営業費用を要するかを表す指数)は802でした。ちなみに、鉄道路線として完全に生きていた2014年度は、苫小牧~鵡川間が803、鵡川~様似間が1476で、全体が1179というデータがあります。こちらはかつての名寄本線や瀬棚線よりも悪い数字です。そうした営業係数というのは原則として除雪費用なども含めて算出されます。日高地方の太平洋側は積雪が例年少ないですから、こうして国鉄の不採算路線と比較してみると、いかに利用の低い路線ということがわかります。自然災害の影響によって数字が悪いというのも一理あるでしょう。ここまで数字が悪い路線は、国鉄時代は特定地方交通線に指定され、深名線のような冬季の代替交通機関が十分に確保できないという特殊なケースを除けば、バス転換が相当と判断されました。なので、JR北海道も現在不採算路線の整理を実施していますが、国鉄の強行策から比べれば基準が全然低く、まだまだ易しい方です。国鉄だったらとっくに廃止・バス転換が相当と判断されていますよ。むしろよくここまで鉄路が存続できたと思います。明日から鵡川~様似間はバス路線に転換されます。全国の例をみると、利用が増加した例もあれば、利用が落ち込んだケースもあり、同区間についてはまだ何とも言えません。北海道の場合、バス転換された場合のそのほとんどが利用がさらに落ち込んでいますから、先行きは厳しいのかもしれませんね。本日は2020年度最後の日。本当はもっと早い時間帯に更新するはずが、この時間帯にまでなってしまいました。年度末最終日ということで、本当に変化が大きい日。先程からTwitterとYouTubeを見続けていました。夕方フル充電しておいたiPhone12 Pro Maxの充電も6割ほどになってしまいました。年度末はやはり大きな変化が訪れます。終了することもあれば、新たに始まることもあります。管理者にとって、スマホを見る度に危機感を感じている2021年。年度も新しくなったら一体どうなってしまうのでしょう?閲覧する皆さまに対しては、引き続きブログやSNSの更新を継続してまいります。よろしくお願いします。↓ブログランキングにご協力お願いします↓ にほんブログ村人気ブログランキング close

日高本線の鵡川~様似間の鉄道営業が終了
サイト名 北海道の鉄道情報局
タグ その他あれこれ 鉄道
投稿日時 2021-04-01 02:00:19

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