銚子電気鉄道は2021年6月より同社を救済するスペシャリストの資格『銚電931(救済)ソムリエ』(民間資格)を養成するオンライン講座を開設しました。同社の『お化け屋敷電車』や『まずい棒』の企画･開発に携わる文筆家の寺井広樹さんが開設しました。同社の歴史や自ギャグ的理念(自虐＋ユ…… more ーモア)を理解するため、ZOOMを活用した1時間の講座で①銚電の歴史、②車両の紹介、③苦境に立ち向かう自虐商品、④日本一のエンタメ鉄道を目指して、⑤銚子電鉄を支える仲間たちの5項目を学びます。講師は銚子電気鉄道がクラウドファンディングで資金を集めて制作された映画『電車を止めるな!』(先述の寺井さんが原作･脚本)に出演された俳優の方が交替で務めます。私は女優･谷口礼子さんが講師を務めた回に参加しました。寺井さんもオブザーバーとして参加されていました。 　交通事業者(或いはその親会社)主催のオンラインによるイベントへの参加は3回目となります。今まで参加したところはオンラインによる仮想ツアーがメインでした(下記リンク記事参照)が、銚子電気鉄道においては『資格講座』という方法でオンラインを活用している点が画期的です。ZOOMを利用しているため、講師の先生から受講生の出席確認や反応を伺う事ことが出来ます。講義の進め方は各回の講師の方にある程度任されているようで、先述の5項目の講義内容にプラスで、谷口さんも出演されていた銚電スリーナイン(劇団シアターキューブリックと銚子電気鉄道がコラボした列車内での演劇)のお話や、谷口さんが撮影された沿線の写真などを交えて、学ぶことと同時にプチ旅行気分も味わえ、楽しい講義でした。そして、舞台女優の方による講義であるため、凄く聞きやすく分かりやすいというメリットがありました。 　資格講座を名乗るものの試験はありません。また、何度でも参加可能です。既に複数回参加されている方もおり、おそらく俳優さん毎に受講されているのだと思います。講師(俳優さん)は計7名。仮に全員分参加されていたらそれだけでかなりの金額になりますが、自社製作映画とタイアップさせていること、講師を交替制にしていることで、資格講座としては珍しいリピーターを生み出しています。 　さて、オンラインによる仮想ツアーでは一般的に視聴料のみで1,000～2,000円程度。そこに地元特産品やノベルティーなどが付けば、合計の参加費3,000～6,000円程度のものが多いですが、銚電931ソムリエにおいては受講料が『救済』に因んで税込9,310円です。受講料には講義料以外に『ソムリエ限定オリジナル弧廻手形』『銚電931ソムリエ認定缶バッジ 』が含まれます。 　ソムリエ限定オリジナル弧廻手形の右上に記載された券番が『修了した順番』だとすれば、2021年8月27日修了時点で累計140名を超える受講があり、各回平均で12名が参加されていることになります。銚子電気鉄道の『2020年4月18日の1日の運賃収入が4,480円』という衝撃的な報道もありましたが、1日あたりの受講者12名分の弧廻手形代(通常の駅や車内で発売している金額と同じく1枚700円として)だけでも8,400円でそれを上回り、弧廻手形等を含む受講料でみれば12名分で111,720円。累計140名分の受講料では1,303,400円にもなります。このオンライン講座自体が同社の『救済』に大きく貢献する凄さをもった『商品』になりつつあるのではないかと思います。同社では食品、グッズや記念きっぷなど色々な商品を開発･発売していますが、客が一度に使う金額が今までの商品と全然違うと思います。 　銚子電気鉄道においては2016年から『銚電倶楽部』(※下記リンク記事参照)を発足させています。鉄道事業者等で多くみられるサポーター制度で、年会費･1口1,800円。会員の特典に(私はなかなかタイミングが合わなくて使えませんが)年6回もの無料乗車DAYが設定されているため、人によってはもの凄くお得な制度かも知れません。ただ、あくまで会員期間は限定されますし、全国各地の鉄道事業者に同様の制度がある中で、特定のサポーターズ制度に永続的に入会し続ける人は少ないと思います。このような年会費制による制度では、不景気で会員自身の収入が下がり、年会費以上のメリットを感じなくなった時に、趣味に掛けるカネの中で真っ先に『切り詰める対象』になると思います(私ならそうします)。一方で『資格』(有料での更新を強制するものを除く)であれば、サポーター制度と異なり、取得することへの強い関心を抱きやすく、ずっとその称号を名乗れる点が最大のメリット。銚電931ソムリエがまさにそれに該当します。だからやや高めの受講料でも許容できるのです。『その資格持っていて何が出来るの?』とツッコまれそうですが、真顔で『銚子電鉄を救済するんだよ』と答えれば良いのです。活かし方は色々。乗り物好きの間ではちょっとした『ネタ』になるのではないかと思っています。ただ、せっかくの『資格』ですからネタ以外での活用方法として今後は有資格者の集い、有資格者のみ乗車可能な臨時列車運行などのイベント(これらは当然、参加費を徴収して)があれば良いと思いました。 【講義修了後に送られてきたもの】 《銚電931ソムリエ銚子電鉄優待1日乗車券(ソムリエ限定オリジナル弧廻手形)》 　後述の缶バッジとともに講義修了後に送られてきます。外川駅に保存されているデハ801号車のデザインです。 《銚電931ソムリエ認定缶バッジ 》 　修了証的なもの。 【関連記事】 《銚子電気鉄道のメイン記事･関連記事》 　銚子電気鉄道 銚子電気鉄道線 　銚子電気鉄道 銚電倶楽部 《他交通事業者等のオンライン活用事例》 　琴平バス オンラインバスツアー南薩観光･村方さんと巡る鹿児島･南九州市の旅 薩摩の小京都｢武家屋敷｣と平和の尊さを知る｢知覧｣ 　WILLER 劇団EXILEと行くリモートトラベル!!ローカル鉄道に乗って北近畿エリアの絶景と城崎温泉満喫旅 close

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