特急「ニセコ」と「ノースレインボーエクスプレス」の詳細

特急「ニセコ」と「ノースレインボーエクスプレス」
いかさまトラベラー
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記事タイトル 特急「ニセコ」と「ノースレインボーエクスプレス」
概要

 久々に温かめの鉄道の話。  函館と旭川を結ぶJR函館本線は、長万部-札幌間で倶知安・小樽を経由する。このルートには国鉄時代、特急「北海」、急行「ニセコ」などが運転されていたが、山あいで線形が悪く、東室蘭・苫小牧を経由する室蘭本線・千歳線経由、通称「海線」の方が約30km距離が長…… more いにもかかわらず所要時間は圧倒的に早い。沿線人口も多い「海線」は、1日10往復の特急「北斗」が結ぶメインルートとなっている。小樽経由の通称「山線」に、現在定期運転の優等列車はない。 その「山線」に、2015年から観光シーズンの9月を中心に臨時特急「ニセコ」が運転されている。当初「ニセコエクスプレス」車両で運転されたこの列車は、「ニセコエクスプレス」の廃車に伴い2018年からはキハ183系の一般特急車両で運転されていたが、今年は「ノースレインボーエクスプレス」が投入された。 9月上旬、函館へ出張する機会があり、その帰路にこの列車を利用してみた。    「ノースレインボーエクスプレス」は、1992年にJR北海道が新製した車両である。3号車のダブルデッカー車を含むハイデッカー構造は、当時のリゾート列車のトレンドで、3号車1階にはラウンジが設けられていた。改造車両を含めて一時期6編成となったJR北海道のリゾート車両は、富良野・トマム・ニセコなどの観光地へのアクセスに活躍したが、定期特急の強化に軸足を置いたJR北海道の戦略と車両の老朽化により廃車が進み、一昨年「クリスタルエクスプレス」が姿を消した後は、「ノースレインボーエクスプレス」が最後の1本となっている。  「ニセコ」は函館13時58分発である。この列車の5分前、13時53分に出発する「海線」経由の定期特急「北斗13号」は札幌着17時47分、所要3時間54分である。一方の「ニセコ」は、観光列車で途中駅での停車時間も長めに取られていることもあり、札幌着は19時27分。所要5時間29分と1時間半以上余計にかかる。普通なら選択肢には入らないが、札幌帰着はどちらにしても17時を過ぎるから出社する必要はない。  前日利用した函館行き特急「北斗20号」は、函館着が夜20時を超えるという時間帯もあり、私の乗った車両は1両に乗客わずか3人と言う惨憺たる有様だったが、この日の「ニセコ」は、指定席に関してはざっと50%の入りと、コロナ下としてはかなり優秀な成績である。もっとも、ニセコや倶知安、小樽といった観光地が目的の客よりも、列車そのものが目的と言う客の比率の方が高いようにも見える。1号車の先頭座席の客は、乗車早々、前面展望の運転席後ろにビデオカメラを設置して臨戦態勢である。    列車は新函館北斗で新幹線からの乗り継ぎ客をいくらか増やし、青天に映える大沼・駒ヶ岳を横目に快調に走って、15時47分長万部着。長万部町のゆるキャラ「まんべくん」の歓迎を受ける。10年ほど前に毒舌キャラで人気を博しながらTwitter炎上騒ぎを起こして一時全国的に話題となった。乗客の向けるカメラに笑顔(?)でモデルを務めている。    長万部からは「山線」に入る。にわかに風景が緑の中に沈み、勾配のある線路を右へ左へと体をくねらせながら走る。黒松内、昆布と、5両編成の列車全体がホームにかからない小駅に止まる。右手に羊蹄山の美しい姿が見え隠れする。17時11分発のニセコからは地元観光協会の車内販売が乗って来た。倶知安までのわずか14分間だが、「飲むヨーグルト」などの名産品がよく売れる。    17時25分着の倶知安で10分停車。古びたホームの隣には、真新しいコンクリート製の構造体が出来上がっている。北海道新幹線を迎え入れるため、在来線ホームを西側に移設する工事で、10月31日からの供用開始が予定されている。現在のホーム位置には新幹線のホームが設置される予定である。 もっとも、新設された在来線ホームに2030年度以降も列車が走るかどうかについてはまだ決まっていない。函館本線の長万部-倶知安-小樽間は、北海道新幹線開業に伴い並行在来線としてJRから分離される方向である。余市-小樽間では一定の通勤・通学需要があるものの、この区間の2020年の営業係数は349と、新型コロナの影響を考慮しても閑散ローカル線並みの成績である。 倶知安から徐々に窓の外が暗くなり、18時41分着の小樽に着く頃にはすでに真っ暗。ここで2割ほどの乗客が下車していった。札幌近郊区間に入った「ニセコ」は、快速「エアポート」が32分で走る小樽-札幌間を46分かけて悠々と走り、19時27分、定刻に札幌駅に到着した。全般的に乗客の入れ替わりは少なく、所要時間を考えても列車そのものが目当ての乗客が多かったことを物語っている。    今回運用された「ノースレインボーエクスプレス」は、2年前に利用した「クリスタルエクスプレス」と比べて車両自体の状態は良さそうだが、車齢は来年で30年を迎え、老朽化は着実に進行している。新たなリゾート用車両として、現行のキハ261系を特別装備した「はまなす編成」「ラベンダー編成」も出揃った。定期列車で走ることのない「ノースレインボーエクスプレス」に乗車するチャンスは少なく、ひょっとするとこれが最後かもしれない。 ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチッとな。    close

特急「ニセコ」と「ノースレインボーエクスプレス」
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タグ 鉄道 鉄道の旅人
投稿日時 2021-09-21 01:00:24

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