ある程度年配の模型フリークの方なら機芸出版社の「シーナリィガイド」をご存知だろう。車両模型一辺倒だった鉄道模型の世界にあって駅とか線路周りの「シーナリィ」に目を開かせた、この筋の大御所河田耕一さんの名著である。風太郎の中坊時代、１９７５年の再販を買ったらしい。 この当時の風太郎は…… more 写真に微塵の関心も無く、むしろ模型に凝っていた。金もウデも無いくせにレイアウト志向は強かったのだろう、見た事も無い鉄道風景に胸が躍ったものだ。この頃のレイアウトと言えば８の字の線路配置みたいな、プラレール的にあり得ないものがまだまだ幅を利かせており、それはやはり車両以外の「実物」に対する考証が著しく不足していたという事だろう。今思えば資料的ではあっても本物の「鉄道がある風景」に触れる事で、写真に対する関心が少しづつ芽生えたのかも知れぬ。さて本を開くと「ローカルムードを偲ぶ」と題して国鉄若桜線の各駅の様子が写真と線路配置のイラストで掲載されている。どこが「偲ぶ」なんだよと言う垂涎の鉄道風景なのだが、この取材は１９７０年位らしく、Ｃ１１の混合列車が消えたとあるから、筆者的には懐かしの風景だったのだろう。 贅沢過ぎる話だがこういうごく平凡なローカル線、貨物側線一本しかないような小駅の佇まいの記録は貴重だ。しかしそれから半世紀の時が流れている以上、線路があるだけ幸い、駅なんぞ全く変わってしまっているという現実に打ちのめされるのはごく普通の事だ。ところが「若桜鉄道」に来てみて驚いた。変わってないじゃないか。　　若桜鉄道　因幡船岡駅　　２０２２年４月この駅は半世紀前の写真とほぼ変わらない。 ベンチも秤も時が停まったようだ。それにつけてもたかが駅のペンチが、なんと重厚なアートの事よ。　　因幡船岡駅　　因幡船岡駅　　安部駅安部駅は半分美容院になっているのはともかく、これもほぼ変わらない佇まい。　　八東駅この駅は第三セクター化の後、交換駅に昇格（復活？）したらしく。 ホームはコンクリート製のピカピカだが駅舎は変わらない。　　丹比駅構内にあったというチップ工場とホッパーは何の変哲も無い建物に変わったが、カーネギー製のレールを再利用したホーム庇は健在。それ程の積雪地では無いという地の利もあり、雪国に比べれば建物の傷みは少ないのだろう。 これだけで客を呼べる。 あまりに安っぽい駅舎に建て替えて内輪の満足に浸るより余程賢明な選択だろう。生きてる駅の博物館。©　2011　風太郎のPな日々　All rights reservedにほんブログ村戦場はウクライナばかりでは無い。 泥沼の内戦状態が続くミャンマー、難民は既に６０万人とも。 そして憎しみの連鎖。３Ｄプリンターで手作りされ、実弾を装填すれば発射可能とする「プラスチック製の実銃」には言葉を失う。「忘れられちゃうことが一番恐ろしい」 。ミャンマーの軍事クーデターに抗議します。 close

のたりと春　その１１　　若桜鉄道②　シーナリィガイドの世界