もうひとつの「ローカル線」問題~北海道新幹線と並行在来線【1】長万部-小樽は廃線への詳細

もうひとつの「ローカル線」問題~北海道新幹線と並行在来線【1】長万部-小樽は廃線へ
いかさまトラベラー
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記事タイトル もうひとつの「ローカル線」問題~北海道新幹線と並行在来線【1】長万部-小樽は廃線へ
概要

 JR北海道におけるもうひとつの「ローカル線問題」は、2030年度に開業を迎える北海道新幹線に関する「並行在来線」である。 1990年の政府・与党申し合わせにより、整備新幹線の開業により経営が悪化する在来線区間については、整備新幹線の運営を引き受けるJRの負担を軽減するために、地…… more 元の同意を得たうえで廃線あるいは経営形態の変更が認められる、ということになった。 これにより、1997年に開業した北陸新幹線(高崎-長野)では、信越本線の横川-篠ノ井がJRから分離され、横川-軽井沢は廃止、軽井沢-篠ノ井は第三セクター鉄道に転換した。その後開業した東北新幹線(盛岡-新青森)・北陸新幹線(長野-金沢)・九州新幹線(博多-鹿児島中央)・北海道新幹線(新青森-新函館北斗)でも、一部の区間が第三セクター鉄道に引き継がれている。変わったところでは、9月に開業する西九州新幹線(武雄温泉-長崎)は、肥前山口-諫早で鉄道施設を県が管理し、JR九州が列車を運行する「上下分離方式」を採用している。  北海道新幹線・新函館北斗-札幌の開業に際しては、函館-新函館北斗-長万部-倶知安-小樽の函館本線が並行在来線としてJRから分離されることとなっている。新幹線のフィーダー路線のイメージが強い函館-新函館北斗が含まれているのは意外だが、経営分離後にこの区間だけがJRの「飛び地」として残っても具合が悪いだろう。一方で、札幌近郊区間である小樽-札幌については、JR北海道が引き続き運営することとなっている。  並行在来線区間のうち、長万部-倶知安-小樽(140.2km)は、全般に勾配やカーブが多く、沿線人口密度も低い。メインルートの室蘭本線が有珠山噴火のため不通となった2000年3月末から3か月間にわたり、特急列車や貨物列車が迂回運転されたが、1986年以来定期特急列車の運転はなく、秋の一時期に臨時特急が走る以外は、基本純然たるローカル区間である。2021年度の輸送密度は340人/km/日で、年間約28億円の赤字となっている。 今年2月、長万部-余市の沿線自治体は鉄道による存続を断念してバス転換することで合意した。余市-小樽については、通勤・通学輸送を中心に片道1,000人近い利用客があることから、鉄道存続を求める余市町が廃止に難色を示し、小樽市も態度を保留していたが、3月末に廃止に合意、長万部-小樽の全線がバス転換されることが決まった。並行在来線区間の廃止は、信越本線・横川-軽井沢以来の2例目となる。  さらにこの区間内にあって新幹線駅が整備される予定の倶知安町は、駅周辺の再開発との関係から、新幹線開業を待たず廃止時期の前倒しを要望している。新幹線の恩恵が薄い周辺自治体が同調するかは不明だが、こうなると並行在来線問題とは別次元の話となり、いわゆる「維持困難区間」と同様の様相を呈してくる。一方で、いわゆる並行在来線区間の経営参画や費用負担の責務はJR北海道にはなく、「維持困難区間」廃止後の代替交通機関に対するものと同様の支援をJR北海道から得られるわけではない。廃線後の代替交通機関整備は自治体とバス会社がその中心となって検討を進めることになる。 これらの沿線自治体と札幌の間には、ニセコ・倶知安3往復、仁木・共和・岩内15往復、積丹2往復の高速バスが運転され、いずれも途中停留所の全てで乗降が可能である。余市からはこれらすべてが利用できるほか、余市までの区間便も含めて21.5往復と、人口2万人弱の自治体としては利便性が高い。 この他余市-小樽には路線バスも1日30往復程度が運転されており、昨今の地方バス路線の状況を考えればはるかに恵まれた環境である。とはいえ、片道1,000人近くのJR利用客がその足を失うとなれば、単純計算で片道20便のバスを増発しなければならない。その多くは朝夕の通勤通学時間帯に偏ることになる。運輸業界は慢性的な運転手不足が続いており、必要な運行本数が確保できるかも焦点となる。 私は昨年、この区間を走る臨時特急「ニセコ」に函館から札幌まで乗り通した。また、それより3年前、長万部-倶知安を普通列車で移動したこともある。線区内流動は少なく、平日日中と言うこともあり、普通列車の客は少なかった。臨時特急もこの区間内での乗降はほとんどなく、どちらかと言えばその筋の人専用の感が強かった。1904年以来100年を超える歴史を有するこの区間だが、鉄路としての膨大な維持費という現実の前に、歴史や郷愁などは無力であることをひしひしと思い知らされる。 続く。ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチッとな。    close

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タグ JR北海道経営問題 鉄道
投稿日時 2022-08-29 00:40:23

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