近鉄難波線大阪難波駅の剛体架線(き電吊架シンプルカテナリー式)を観察の詳細

近鉄難波線大阪難波駅の剛体架線(き電吊架シンプルカテナリー式)を観察
青春18きっぷ乗り鉄-旅行記-
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記事タイトル 近鉄難波線大阪難波駅の剛体架線(き電吊架シンプルカテナリー式)を観察
概要

大阪難波駅まで戻ってきました。 大阪難波駅でなにがしたかったのかというと、 赤矢印の物です。 近鉄難波線は全区間地下にあり、架線は剛体架線を採用しています。 ただの剛体架線ではありません。 シンプルカテナリー式の剛体架線となっています。 西青山駅にやって来ました。最近は珍しい…… more 架線をさがして取材をするようなことを続けています。今回は近鉄特有の剛体式コンパウンドカテナリーの紹介をしていきます。秘境駅としても名高い西青山駅。とはいっても毎時2本程度あるのでアクセス性は良いです。 この...近鉄大阪線新青山トンネルのき電吊架剛体コンパウンドカテナリー式架線 - 青春18きっぷ乗り鉄-旅行記- 新青山トンネルのき電吊架剛体コンパウンドカテナリー式架線の シンプルカテナリー版です。 新青山トンネルの剛体架線はホームから離れた場所にあるので、 じっくり観察することができませんでした。   しかし、近鉄難波線は全区間でき電吊架剛体シンプルカテナリー式架線を 採用しているので間近で見ることができます。 大阪難波駅は転轍機やカーブもありバリエーションは豊富です。   大阪上本町駅(地下ホーム)・近鉄日本橋駅でも観察はできますが、 大阪難波駅で見るのが一番面白いのではないでしょうか。 き電吊架剛体シンプルカテナリー式架線 「き電吊架剛体シンプルカテナリー」は 「き電吊架剛体コンパウンドカテナリー式架線」のシンプル版なので、 改めて書くほどでもないかもしれませんがざくっといきましょう。 全体的な構造は、こんな感じでしょうか。 電車線が鋼材で補強されている以外は、普通のき電吊架シンプルカテナリー式架線です。 成城学園前のセミコンパウンドカテナリーを観察したところで次の目的に向かいます。次の目的地は東北沢です。 セミコンパウンドカテナリーはさまざまな場所で見られるのですが、東北沢の設備は限られた場所しか見られないと思います。では参りましょう。東北沢...小田急のエアセクション標識と東北沢剛体架線エアジョイント - 青春18きっぷ乗り鉄-旅行記- 一般的な剛体架線はシンプルカテナリーのようにハンガーで吊架することはなく、 天井直付けとなっています。   剛体架線は地下鉄を中心にトンネルの区間での採用されています。 電車線(パンタグラフと接する電線)は直径がだいたい9mmを下回ると交換となるのですが、 トンネル内での架線交換は明かり区間に比べて容易ではありません。 (9mm以下になると断線リスクが高まる) トンネル区間で剛体架線を採用するのはメンテナンスの簡略化が目的です。   しかし、剛体架線にはデメリットもあります。 地下鉄などでは掘削面を小さくするため天井もギリギリで天井直付けが基本です。 こうすると上下動の遊びがないので、振動がパンタグラフに全てのしかかってきます。 振動が大きいほどパンタグラフを押し下げますので、離線リスクの方が高まるわけです。   近畿日本鉄道では近鉄難波線のほかに新青山トンネル(大阪線)や新生駒トンネル(奈良線) といった長大トンネルを抱えています。 両トンネルでは100km/h超の高速運転を実施しているので剛体架線は向きません。 高速運転するなら上下動の遊びのあるカテナリー式が有利です。   剛体架線のメンテナンス性にカテナリー式の高速運転対応。 両方のメリットを掛け合わせたのが剛体シンプルカテナリーです。 近鉄難波線は高速運転をしないので通常の剛体架線でよい気がしますが、 新生駒トンネル…1964年 近鉄難波線…1970年 と開業時期が近いので、共通化が図られた結果だと考えています。   「き電吊架」については「>>補足を読む」を開いてご確認ください。 >>補足を読む 補足======================== き電吊架 き電吊架線はき電線と吊架線を一緒にした構造の架線です。 トンネル区間でよく採用される方式でしたが、 JR西日本が明かり区間でも積極的に採用するようになり、 見られるケースが増えています。 ↑前の記事の続き。 横川駅で青春18きっぷ5回目に日付を入れてもらい、可部線ホームへと向かいます。ホームに到着するとすぐに227系2両のあき亀山行きが到着しました。広島といえば国鉄車両でしたが227系ばかりになってきた印象です。可部線は2012年に乗車して以...可部線延伸(廃線跡地活用して復活)あき亀山駅を見てきた - 青春18きっぷ乗り鉄-旅行記- 可部線の延伸区間(可部駅~あき亀山駅)は、ほぼ全区間でき電吊架です。   き電吊架は最初に採用されたのが中央東線の笹子トンネルと聞いたことがあります。 極小トンネルで有名な笹子トンネルは架線の取り回しがとても大変だったそうです。 試行錯誤の結果生まれたのがき電吊架でよかったかなと思います。   ただし、最近は事情が変わってきました、 き電線と吊架線を一緒にすることで必要な電線を2本に減らせます。 部品点数の削減にもなりますので、コストダウンに寄与するので、 直流電化区間のJRや大手私鉄で場所関係なく採用されます。   そもそもき電線とはどんなものかというと、 日本の直流電化の大半は1500Vを採用しています。 直流電化は地上設備が高くなるといわれますが、その理由は電圧の低さが原因です。   電車線はパンタグラフと接しますからある程度強度が必要で、 強度を高めようとすると抵抗が大きい(通電性の悪い)素材が必要になります。   抵抗のある電線では電圧降下が起こり、変電所から離れるほど電圧が下がりますので、 車両への電力供給が悪くなります。 遠くへもできるだけ安定して電気を届ける、ここで登場するのが「き電線」です。   き電線は大量の電気を通過させるバイパスのようなもの。 パンタグラフと接しませんから強度も必要ないため、 抵抗の低い(通電性の高い)素材を優先的に採用して構成されます。   変電所から送り出された電気はき電線を通っていきます。 き電線は架線柱3~5本に1箇所単位でき電分線を設置します。 き電分線を通じて最終的に電車線へとたどり着く流れです。 和歌山線の和歌山~五条の大部分は直接吊架方式です。厳密に言えば国鉄が開発したY型直接吊架方式(正式名称はない)というものになります。 この区間にもシンプルカテナリーの部分があります。ひとつは触れませんでしたが和歌山~新在家派出所間です。この区間...和歌山線の電化は建築の限界から直接吊架になった可能性 - 青春18きっぷ乗り鉄-旅行記- こうすることで安定的に電気は届けられますが、送電距離は20km程度が限界。 20kmというのも和歌山線みたいな列車本数が極端に少ない区間に限られます。 運行本数が多い区間では送電距離05~10kmしか持ちません。 き電線がなければ、それ以下なので非常に重要な電線なのです。 ========================   船 2本の電車線を接合している場所のことを「船」といいます。 架線には摩耗しにくい箇所と摩耗しやすい箇所があります。 とくに摩耗しやすいのが停車したときにパンタクラフが来る位置。   架線は低速通過する場所ほど摩耗しやす傾向があり、 先ほども書きましたが直径がおおよそ9mmを下回ると交換となるそうです。 架線は1本800mなので摩耗しやすい箇所の直径を基準に交換すると、 ムダが大きくなります。   なので、 摩耗しやすい箇所だけ切り取って別の架線に交換する手法がとられるわけです。 そのときに先端部分を少し上に上げるので、 遠くから見ると船体のような形をしているので「船」といわれます。 上方に折り曲げるのは、パンタグラフへの巻き込みを避けるためです。   >>補足を読む 補足======================== 2017年08月24日(2日目)は宇都宮駅からスタート。本日の行き先は今回の目的地である黒磯駅です。黒磯駅は日本で唯一の地上切換によるデッドセクション。10月から車上切換に統一するための工事がはじまり、見ることができなくなります。最後のチャンスということで見...黒磯駅直流化前に観察|E531系試運転列車にも出会う【青春18きっぷ2017夏その2】 - 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青春18きっぷ乗り鉄-旅行記- 小田急小田原線の成城学園前駅がセミコンパウンドカテナリーです。 ここは特急や快速急行が高速で通過するため、こちらの方式が採用されています。 阪神なんば線のセミコンパウンドカテナリーはき電吊架線が2本です。 似たような事例は東京メトロ日比谷線北千住駅。 8月16日東京遠征も最終日となりました。本日はほぼ予定を立てず行動します。沼津発のホームライナー浜松3号に間に合う列車に乗ることができればOKなのでフリーです。出発はもちろん北千住駅です。お盆に東京に来ることになったのも何かの縁でしょう。靖国神社に参拝...北千住駅日比谷線ホームの架線が独特なき電吊架【青春18きっぷ2016夏その3】 - 青春18きっぷ乗り鉄-旅行記- 日比谷線の方はシンプルカテナリーなので構造は違います。 しかし、き電吊架に限らずき電線を2本束ねる構造は見られるので、 これが標準的な形となっているかもしれません。   吊架線を2本配置する構造とダブルメッセンジャーといい、 横風が強い区間で採用されることが多いです。 関西では京阪本線の淀川付近を通過する区間にあります。 今回は京阪電気鉄道にお世話になります。京阪本線はときどき乗車していますが、区間乗車がほとんどでガッツリ乗るのはは2012年の夏以来でしょうか。そのときは8030系(旧3000系)が引退する間際でした。今回京阪に乗車することにしたのはいろいろ理由があります。そ...京阪独自吊架?ダブルメッセンジャーコンパウンドカテナリー - 青春18きっぷ乗り鉄-旅行記- 正式なダブルメッセンジャーは2本の電線を一定間隔で開けるので、 束にしている阪神なんば線のは正確なダブルメッセンジャーではないかもしれません。 ======================== 列車通過時の騒音が大きい 船の真横だったからかもしれませんが、 気になったのが、列車が横を通過するときの騒音です。 剛体架線ですがシンプルカテナリー構造なので、 パンタグラフが架線を押し上げて進んでいきます。   当然ながら剛体の重量がパンタグラフ側にものしかかってきますから、 通常の剛体架線より摩擦は大きいのかもしれません。 地下鉄でもここまでの騒音を聞いたことがないですね。   剛体架線は摩耗率はシンプルカテナリー架線に比べて大きくなります。 断線リスクが低いので交換周期を延ばすことはできますが、 摩耗率が高いのでどれほど効果があるかは疑問です。 デボ1形復刻塗装で鶴橋駅へ 今回観察したのはこれくらいです。 また見落としがあれば、機会をつくって見ることにします。 大阪難波駅は利用する機会が多いので。 大阪難波駅で活動をしていたら、デボ1形復刻塗装が現れました。 普通尼崎行きだったので、この折り返しに乗車して鶴橋駅へ向かいます。   デボ1形復刻塗装はLCカーなんですよね。 LCカーは何度も乗っているのですが、たいていクロスモードです。 ロングモードには乗ったことがなかったので、はじめてのロングモードを堪能しました。   close

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サイト名 青春18きっぷ乗り鉄-旅行記-
タグ 2018年07月30日 2018年番外編 架線観察 近畿日本鉄道 近鉄 鉄道 阪神電気鉄道
投稿日時 2018-08-13 00:15:01

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