今回も前回からの続きです。冷たい雨の土曜日銀行の命令で行員が出勤すると、管理職から経緯の説明がありました。すでにその前日には、日経新聞にリーク記事が第1面デカデカと、金融庁が破綻を認定したとの記事が出ていたので、どういう事態なのか、皆大体分かっていました。3月時点で債務超過となっ…… more ていて、預金保険法第102条1項3号の適用で特別危機管理銀行に認定。つまり一時国有化されて国によって銀行は破綻処理されることが決定したとのこと。予想通りの言葉で、誰も皆、表情を変えずに聞いていました。続いて、お客様の預金は全額保護され、政府や日銀からもそれについて十分周知するとのこと。地元経済への影響を少しでも少なくするためです。支店では月曜日の営業開始時刻までに、特に大口の預金者を中心に説明をして、とにかくパニックにならないように動き回ったようです。とりよたのような本部の若手行員は、本店内の大会議室に記者会見場を作ることに。大会議室は検査の会場だったのですが、それは全て撤去して、イスを並べました。そうして本店を出たのはすっかり日も暮れた頃。記者会見は夜に行うことになっていて、警備のために少ない人数のみ残して帰宅を命じられました。本店を出るとテレビカメラと照明が一斉に向けられて、それから逃げるように家に帰りました。家に帰ると心配そうな顔をして妻が出迎えてくれましたが、その後はどうしていたのか、よく覚えていません。記者会見や政府の正式な発表から2日後の月曜日。破綻から最初の営業開始時刻に。とりよたは近くの支店に応援に行くように指示されていました。パニックのような取り付け騒ぎを警戒していましたが、テレビや新聞で、預金は全額保護されるので落ち着いて行動するように、とさかんに言っていたおかげか、普通の月曜日程度の来客数で、心配したほどの混乱はなくほっとしました。ですが、中には大金を引き出すお客様も。今回の事態をお詫びして、預金の引き出し手続きをしました。そうしたなか、ひとりのご年配の女性のお客様が。預金を下ろすのかと思ったら、その逆で定期預金をしたいとのこと。「長年お世話になってきたので、どうしても応援したいと思って」・・・涙が溢れました。そうして長い長い一日を終えて帰宅。テレビのニュースでは本店の様子が 流れていました。株式市場では銀行の株（正確には持ち株会社の株）がマネーゲームのオモチャにされていて、なんともやるせない気持ちに。気持ちも体も疲れはてて、いつもより早く寝ようと寝室に。そこでスヤスヤと眠る子供たちを見て急に不安になりました。これからどうなるんだろう・・・次回に続きます。 close

新幹線通勤の理由 7